2014年5月22日木曜日

これからのライブ動画の使われ方(2)

前回は、「これからのライブ動画の使われ方(1)」という事で、主に物品販売にライブ動画の配信サービスを組み合わせるお話をしました。今回は別の使われ方です。

今回は遠方にいる担当者に現場の状況を知らせるという使い方を紹介したいと思います。

簡単に言えば、自分の周りの状況を遠方にいる人に知らせる時に使います。それも緊急に知らせなければならない場合です。

例えば、急病人が出たときにその対処に詳しい人に様子を見てもらう。(実際には医療関係の法律等が問題になる可能性もありますが。。。)
また、災害や事故の様子を担当者に見てもらう。 身近なところでは、建築現場で起こった問題に対して、親方に見てもらう等です。
 
予め決まった人にライブ映像を見てもらう場合は、テレビ会議システム等で行う事ができますが、この場合ですとソフトウェアの設定等を事前に行っておく必要があります。このため、視聴するための端末も限られますので、あまり汎用性が高いとはいえません。

このような用途の場合は、閲覧する側がどこからでも手軽に映像を見れる事が重要だと思います。


これからのライブ動画の使われ方(1)

これまで、「ライブ動画配信技術の使い道」ということで、TV会議とライブ中継について述べてきました。

それでは、ライブ動画は今後これら以外でどのような使われ方をするのか考えたいと思います。

まず考えられるのは、ネット販売の商品説明に使うというものです。これまでも、賃貸住宅等の不動産物件において動画を用いて、間取りや建物内部の様子を紹介している場合がありました。また中古車の販売でも動画を用いてその車の装備や外装の状態等を紹介しているものがありました。

しかし、これらは予め撮影されて録画した動画のため、閲覧する方にとっては「見たい部分が十分に撮影されていない」、「悪い箇所は撮影されていないのでは?」等といった不満があり、必ずしも100%満足の行く情報提供の手段では無かったと思います。

ところが、これらの商品紹介にライブ動画を使えば、その時々の顧客の指示に従って撮影する箇所を移動しますので、顧客からすれば「包み隠さずその商品のありのままを見れている」という満足感が得られます。これによって、その商品購入に対する不安も解消され十分に納得した状態で商品購入する事ができると思います。

中古車や不動産などはこの世の中に唯一無二の商品ですので、商品そのものをライブ動画で紹介する事は非常に有効な手段で、遠方にいる顧客に対してもその商品の良さを十分に分かってもらえると思います。

他にもライブ動画で商品を説明するという手法が有効だと考えられる商材があります。それは、化粧品や健康食品、衣類(特に子供服等)、靴等の購入時に対面で詳しい商品説明を聞きたい商材です。

これらの商材ももちろんインターネットで販売されていますが、ユーザーはその商品をサイトに掲載されている商品写真や、説明文だけから商品情報を取得して購入する事になります。しかし、実店舗でこれらの商品を購入する場合は、多数の商品を見比べて、しかも店員から様々なアドバイスも聞きながら購入を決めていると思います。

この場合は、ユーザーが選んだ商品だけでは無く、店員に勧められてその商品に関連する物品も購入する場合が多々あります。例えば、革靴を購入した場合、その靴に合った靴墨も購入する等です。

ネット販売でも、このようにユーザーが商品に対する電話問い合わせをした時に、対応する店員がその商品を動画撮影しながら、その映像をライブ配信して、その映像をユーザーが見ながら商品説明を聞ければ実店舗と殆ど変わらない商品説明を受けながら、商品を購入する事が可能となります。 (顧客が商品を触って確認する事はできませんが ^^;)

このように、ライブ映像を商品の説明に利用する事によって、今までには無かった販売手法を確立する事ができ、顧客満足度を高めると共に、関連商品の売上げアップも期待できると思います。

2014年5月9日金曜日

ライブ動画配信技術の使い道2(ライブ中継)

前回は、ライブ動画配信技術を使ったテレビ会議についてご紹介しました。 もう一つの使い方はやはりライブ中継の配信だと思います。

ライブ動画配信技術を使えばスポーツイベントやコンサート等を多数の人に見てもらえます。現在ではUstreamやニコニコ生放送等無料のライブ中継サイトも一般化していますので、プライベートなイベント等も手軽にライブ配信できるようになりました。私は見たことがありませんが、PC等でゲームをしている様子をそのままライブ配信して楽しんでいる方もいるようです。

インターネットが普及していなかった時代では、ライブ動画中継をしようとすると放送局以外には不可能で手間も設備も大規模となり非常にコストのかかるものでした。しかし、現在ではスマートフォン一つで全世界に向けてライブ中継を発信する事ができ、昔から考えると夢のような環境が手軽に構築できる状況になっています。

但し、このようなイベントのライブ中継の場合、同時受信者が多数となりますので、動画の映像データを送出する動画配信サーバーは利用者数の増加に伴って非常に大容量のデータを送信する事になり、非常に高負荷の状態となります。またそれだけの情報量を送出できる回線も確保する必要がありますので、動画配信サーバーの構築にはそれなりのコストがかかってくる事になります。このためニコニコ生放送でも、人気コンテンツに関しては有料化等して設備を維持拡張していると思われます。

このようなライブ中継では、視聴者側のPCではその時々で受信した動画データを再生しますので、基本的にはPC内に動画データは残らないため、著作権保護の点でも有利です。このため、テレビ局が過去の番組をネットで再視聴してもらうビデオ・オン・デマンド サービス等でもこのようなライブ配信技術が使われています。 (YouTubeはダウンロード配信という方法のため、視聴するPCにはデータが一時的に保存されています。)

先にテレビ会議の事をお話しました。テレビ会議も今回のライブ中継も仕組みとしては同じなのですが、細かく見るとその要求性能には違いがあります。

まず、テレビ会議の場合は映像・音声に遅延があると問題が発生します。これは双方向でデータをやり取りしますので、こちらの問い掛けに対して反応が遅いと使い勝手の悪いものになってしまいます。丁度、TVニュース等の通信衛星を使った海外中継で会話をしているような場面を想像してみれば分かると思います。

一方のライブ中継の場合は、遅延に関してはそれほどシビアではありません。時報を中継する等の場合は気になる場合があるかもしれませんが、イベント中継等 の場合、現地と数秒程度の遅れが発生してもデータの流れが一方向なので、その遅れに気付く事も無く問題にはなりません。実際にUstreamで試してみた 事があるのですが、実際には5秒以上の遅れが発生していました。このため、これらのUstream等で複数チャンネル使って双方向でテレビ会議の代わりを するというのは不可能です。

このように、同じライブ動画配信技術を使っているのですが、それぞれに要求性能が異なっていますので、それぞれに最適なチューニングが必要となってきます。

2014年5月2日金曜日

ライブ動画配信技術の使い道1(テレビ会議)

前回はネットを使ったライブ動画配信が非常に手軽にできるようになった事をご紹介しました。今回は、このようなライブ動画配信技術を使ってどのような事ができるのか考えてみたいと思います。

まず一番ニーズが高そうなのが、テレビ会議システムです。これはお互いにライブ動画配信をすれば双方向の会話ができますので、遠隔地の人と表情を見ながら会話する事ができます。これはSkype等でもうすでに一般化されていますので、使った事のある方も多いと思います。

このテレビ会議システムで厄介なのが音声の問題です。お互いがヘッドセット等で再生音を外部に漏らさない様にしていれば良いのですが、相手の音声をスピーカーで再生しながら喋ると、その再生音までマイクが拾ってしまい、相手には自分の喋った声が聞こえてくるといったいわゆるエコーバックという現象が発生してしまいます。

これが発生すると非常に音声が聞き難くなってしまいます。これを対策したマイクセットやソフトウェアにて軽減する方法が取られたりしていますが、やはり一番効果的なのはお互いがヘッドセットを使う事だと思います。

もう一つの問題は、音声や映像の遅延です。インターネットの世界では信号の遅延は必ず発生します。双方向のテレビ会議システムの場合は、会話して反応が返ってくるまでには往復の遅延が加算されますので、遅延が少ない回線環境下でなければストレスを感じる性能となってしまいます。

また、もう少し身近な問題ではマイクの接続の問題があります。通常PCにはスピーカーは接続されていますが、マイクを接続している人は少ないと思います。

このため、お互いが慣れていれば良いのですが、テレビ会議をしようとしていざPCにマイクを接続しても、物理的に上手く接続できなかったり、入力レベルの調整が上手く行かなかったりして、結局上手く会話ができなかったという事にもなってしまいます。

このようにテレビ会議を行おうとすれば、お互いがある程度のスキルを持っていて、機器の操作にも慣れていて、ヘッドセット等の必要機材を取り揃えている事が前提条件となってしまいます。

但し、最近ではスマートフォン同士でもテレビ会議が出来ますので、PC同士で利用するのに比べると敷居は低くなってきていますが、それでもお互いが同じアプリを使わなければならないため、事前にインストールする等のスキルがやはり必要になってきます。


2014年5月1日木曜日

簡単になったライブ動画の配信

遠隔地にいる人に、こちらの様子を動画で知らせるという事は、一昔前なら大変な設備が必要でテレビ局等の専門の会社等しか実現する事は不可能でした。

大きく重いカメラを担いで、通信ケーブルを引き回して中継車まで接続し、それを通信衛星等を介して放送局へ送信して、地上波やケーブル等で一般の家庭に配信する。人員だけでも数十人、機材総額は数億円になるのでは無いでしょうか?

ところが現在では、高速なインターネット回線が普及しているためネットにさえ繋げてしまえば、簡単にライブ動画を配信する事が可能です。それも全世界に向けて配信する事が出来てしまうのです!

インターネットが普及し始めた時、イギリスの大学の研究室にあるコーヒーポットの様子がWeb配信されていたのを懐かしく思います。


現在ではPCに繋いだWebカメラはもちろんの事、スマートフォンからでも簡単に動画を配信する事ができます。
スマートフォンも最近ではLTE回線という高速回線網が整備されてきましたので、リアルタイムに動画を配信するにも十分な帯域性能を持つようになりました。これによって高画質の動画を手軽にどこからでも配信する事ができます。

少し前まではネットを使って動画を配信するにもWebカメラをPCに繋いで撮影するのが一番手軽な方法でしたが、これではカメラの移動が大変で、移動するにもカメラとPCとを一緒に持ち運ばなければならず、機動性があるとは言い難い状況でした。
Webカメラで一般的に使われているUSBケーブルも最大の長さが確か5m程に制限されていましたので、Webカメラだけを持って撮影するという事は不可能です。

しかし、スマートフォンで撮影から配信まで出来るとなれば、話は別です。LTEの電波が届く範囲であれば、またはWifiが届く範囲であれば自由にスマートフォンだけを持って行って撮影すれば良いのです。この機動力の高さはその利用範囲を劇的に広げるのでは無いでしょうか?

今までは被写体を自分の手元まで持ってこなければいけなかったのが、スマートフォンだけを持って被写体の近くまで行ってサッと撮影開始って感じです。

それに最近のスマートフォンはカメラの映像品質も非常に優れています。一昔前のアナログ地上波放送程度の映像品質であれば実現できると思います。

これだけ高品質で便利になったライブ動画の配信ですが、まだまだ身近な場面で活用されているつは言えない状況だと思います。

次回はこのように便利になったライブ動画の配信を、今後はどのように使えば便利そうなのか考えてみたいと思います。